セント・ダンスタンス・バシリカ教会

アニメ『赤毛のアン』をもとに、アン・ブックスの魅力を辿ります。第5話「マリラ決心する」は、小説・第6章「マリラの決心」と 第7章「アンのお祈り 」に該当するエピソードで、 マシュウとマリラがアンを引き取る決心をする場面が描かれています。※村岡花子さんが翻訳された小説(新潮文庫)を参照しています。

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赤毛のアン 第5話のあらすじ

世界名作劇場アニメ『赤毛のアン』第5話の簡単なあらすじをもとにアンの魅力を探ります。孤児院からマシュウとマリラ兄妹のもとにやってきたアン。でも、男の子を頼んだマリラは、行き違いをスペンサー夫人に説明し、アンを孤児院に帰そうとします。ちょうどそこへ子守りを欲しがっているブリュエット夫人が現れ、引き取ろうとしますが、いかにも意地悪そうなブリュエット夫人を見て、マリラはアンをグリーンゲイブルズに連れて帰ることにします…。

アンの成長が描かれる『赤毛のアン』は児童文学として知られていますが、育ての親マシュウとマリラの後半生の物語として読むこともできます。ちょっとした手違いで思いがけなくアンという女の子と人生を歩む決心をするマシュウとマリラ。静かに暮らしていた初老の兄妹の転機に焦点を当てるとさらに味わい深く、人生の機微を感じ取れるのではないでしょうか。

アンとマリラ

マシュウとマリラの家「グリーンゲイブルズ」に置いてもらえるかもしれないと幸せを噛み締めるアン。アニメでは、美しい花びらが舞う中で心躍らせるアンの想像の世界を描いて、溢れんばかりの喜びを表現しています。

アン:「あたしが想像しただけなのかしら…」
マリラ:「本当のこととそうでないことの区別がつかないくらいなら、あんたのその想像とやらはどうにかした方がいいと思うね。ああ、あんたの聞いた通りだよ」

世界名作劇場「赤毛のアン」第5話

不安げだったアンはたちまち笑顔になり、「あの人の所へ行くくらいなら孤児院に帰った方がマシだわ!あの人ったら…まるで錐みたい!」と言って、マリラにたしなめられるのでした。

小説『赤毛のアン』では、「マリラはピーター・ブリュエット夫人とは顔見知りだけのあいだがらだが、余分な肉などは一オンスもないやせっぽちの、小さな口やかましそうな女だった」と書かれています。アニメでも錐のように細いブルエット夫人が描かれ、マリラが想像して思わず吹き出しそうになります。原作に込められたユーモアが垣間見えて笑いを誘う場面です。

マシュウとマリラの決心

マリラがアンを連れてグリーンゲイブルズに帰ってくると、マシュウはホッと胸をなでおろします。そして、「兄さんがあの子を欲しがっているのは分かっていましたからね、あたしもだんだん引き取るのが当たり前のような気がしてきたんですよ」と言うマリラの決心を聞いて、満足そうに頷くのでした。

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人前に出るのが大の苦手なマシュウと、”変わり者”の兄を助けてグリーンゲイブルズを切り回してきたマリラ。リンド夫人が「独身のカスバート兄妹が子供を育てるなんてとても考えられない、みなしごの方がかわいそうだ」と同情するほど地味な暮らしだったのに、アンに出会ったことで二人の生活は一変します。

マリラ:「それからね、あの子のしつけはあたしがしますよ、あの子は女の子なんですからね。兄さんがくちばしを入れるのは、あたしが失敗してからで結構ですよ。
マシュウ:「分かったよマリラ、お前のいいようにやって構わんよ。ただ甘やかさない程度にやさしくやっておくれ」

世界名作劇場「赤毛のアン」第5話

女性と言えばたとえ子どもであっても死ぬほど怖がっていたマシュウ。そのあまりの変わりように、マリラはあきれかえります。慈悲深いマシュウの心には「人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい」という聖書の教えがあったのかもしれませんが、 それ以上に、アンの魅力にはまってしまったと言えるでしょう。

アンのお祈り

その夜、アンはベッドに入る時、お祈りをしたことないと言ってマリラを驚かせ、「なぜお祈りの時はひざまずくの?」と尋ねます。

「あたしなら、たった一人で、深い深い森や、とっても広い広い野原へ行って空を見上げるの。底知れず青いあの美しい青空をずうっとずうっと上まで…そしたら、お祈りしたような気持ちになると思うわ」

世界名作劇場「赤毛のアン」第5話

マリラはアンの言葉に目を丸くしますが、「もう大きいんだから自分でお祈りくらいできるだろう」と促すと、アンは突拍子もないお祈りを始めます。

「恵み深き天の父よ、喜びの白い道や、きらめきの湖や、ボニーや、雪の女王のことであつくお礼を申し上げます。本当に感謝します。お願いの方はあんまりたくさんあって全部言うと時間がかかるので、一番大事なもの2つだけにします。どうかあたしが、グリーン・ゲイブルズにいられるようにして下さい。それから大きくなったら美人になれますように、お願いします。あなたを尊敬するアン・シャーリーより かしこ」

マリラは驚き呆れますが、“かしこ”と言う代わりに“アーメン”と言わなくてはいけなかったんじゃないか?と尋ねるアンに、「悪くは…悪くもないだろうよ」と答え、「これからはアンのしつけが手いっぱいの仕事になるだろう」と使命感を燃やすのでした。

「ええ、ええ、世の中を渡ってゆくにはそれぞれ苦労を分け合わなくちゃならないけど、これまで気楽にやってきたあたしに、とうとう番が回ってきたようですよ」

世界名作劇場アニメ「赤毛のアン第5話」

アンを引き取って育てようと決心した日から、地味な暮らしを送ってきたマシュウとマリラの人生が大きく変わります。モノクロの世界がパッと色鮮やかな世界に変わったのです。

人生の後半戦で新しい人生の扉を開いた二人は、これから様々な出来事を経ながら、明るく幸せな日々を送ることになります。それは、働き手になる男の子が欲しいという自分たちの望みよりも、目の前にいるアンの幸福を優先させたことが、結果的に二人を幸福に導いたのでしょう。

大人になってもう一度アンの物語を味わうと、後半生で思いがけなく舞い込んだマシュウとマリラの幸せな再出発にときめきを覚えます。年代ごとに新しい発見があるのが『赤毛のアン』の大きな魅力ですね。

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