
世界名作劇場アニメ『赤毛のアン』をもとに、アン・ブックスの魅力を辿ります。第6話 「グリーン・ゲイブルズのアン」は、小説・第8章「アンの教育」に該当するエピソードで、ケティ・モーリスという想像上の心の友について、アンがマリラに語る場面が描かれています。※村岡花子さんが翻訳された小説(新潮文庫)を参照しています。
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赤毛のアン 第6話のあらすじ
世界名作劇場アニメ『赤毛のアン』第6話の簡単なあらすじをもとにアンの魅力を探ります。マシュウとマリラはアンを引き取ると決心しましたが、マリラは翌日の午後までアンには打ち明けませんでした。そして、朝からアンに様々な仕事を与え、注意深く働きぶりを見ながら、アンはもの覚えが早く、素直でよく働く子だと見抜きます。午後になっても何も言ってもらえないアンは我慢の限界に達し、「あたしをよそへやってしまうのか、そうでないのかを教えて下さい」とマリラに尋ねるのでした…。
「あたしたちはあんたをここに置いとくことに決めたよ」というマリラの言葉に、アンは嬉し涙を流しながら感激し、「雪の女王様にあいさつしてくるわ、ここに置いてもらえることになったって!」と言って、外へ飛び出します。
そして、雪の女王様や樺の木など “みんな” に挨拶して回り、マシュウに「あたし、置いてもらえることになったのよ。グリーンゲイブルズに!」と報告し、自分の腕をつねって「夢じゃないわ」と確認するのでした。
すると、マシュウは「そうともアン、夢じゃないさ。お前はこれから“グリーン・ゲイブルズのアン”だよ!」と言います。そっけないマリラとは対照的に、内気なマシュウは優しい言葉をかけてくれます。そう、初めて会った時からアンとマシュウはウマが合い、マシュウはアンのよき理解者なのです。
心の友(腹心の友)
心の友は原作「赤毛のアン」では「bosom friend」で、村岡花子さんの翻訳本では「腹心の友」と訳されています。小説とアニメ作品のちょっとした違いを発見するのもアンのファンにとってはたまらない魅力の1つです。
アンはお茶の時間を過ごした後、マリラに「あたし、このアボンリーで心の友が持てると思う?」と尋ねます。
マリラ:「え? 何の友達だって?」
アン:「心の友…ほら、仲のよい友達のことよ。心の奥底を打ち明けられるウマの合う人のことよ」
世界名作劇場アニメ「赤毛のアン第6話」
アンと同い年ぐらいの女の子ダイアナ・バリーが向かいの丘に 住んでいると聞き、「心の友になってくれるかしら」と胸をふくらませます。
ケティ・モーリス
ケティ・モーリスは、 アンがトマスのおばさんの家にいた時、本箱のガラス戸に映る自分の姿を別の女の子だと想像していた時の名前です。アンにとっては大切な友達なのです。
「ハモンドのおばさんと一緒に住むことになった時、ケティ・モーリスを残していくのがとても悲しかったわ。あの子もあたしと同じ気持ちだったのよ。本箱の戸の向こうから、あたしにお別れのキスをしてくれた時、あの子泣いてたもの」
世界名作劇場アニメ「赤毛のアン第6話」
マリラはアンが語るケティ・モーリスの話に肩をすくめ、「あんたは自分の空想を、半分ほんとにしてしまってるじゃないか。生きた本物の友達を作って、そんなバカげたことは忘れる方があんたのためだよ」と言うのでした。
そして、マリラはアンに主の祈りを覚えるように言いつけますが、それでもしゃべり続けるアンに、「自分の部屋で覚えなさい」とたしなめます。
アンはお祈りを覚えようとしますが、いつの間にかまた空想の世界へ迷い込み、コーデリア・フィッツジェラルド姫になった自分を想像します。でも、いつものように本気にはなれません。
「あんたはただのグリーン・ゲイブルズのアンじゃないの。何度あたしがコーデリア姫なんだと空想しても、そのたんびにあんたの顔が見えるのよ。でも、どこの誰だか分からないアンよりも、グリーンゲイブルズのアンの方がずっとずーっといいわね。あたしはグリーンゲイブルズのアンよ。グリーンゲイブルズのアンよ!」
世界名作劇場「赤毛のアン」第6話
幼いころから住まいを転々とし居場所のなかったアン。唯一の友達と言えばケティ・モーリスという本棚のガラス戸に映る自分の姿 …。そして、孤独で辛い日々を過ごしてきたアンがようやくたどり着いたのがグリーンゲイブルズ!「 あたしはグリーンゲイブルズのアンよ」という心の叫びに感動するのは、アンの幸せが見る人の希望の光でもあるからです。アンの姿に自分を重ねた”心の友(腹心の友)”が世界中にたくさんいるからこそ、100年以上も愛され続けているのでしょうね。
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