世界名作劇場アニメ『赤毛のアン』をもとに、アン・ブックスの魅力を辿ります。第7話「レイチェル夫人恐れをなす」は、小説「赤毛のアン」第9章「レイチェル・リンド夫人あきれかえる」と 第10章「アンのおわび」に該当するエピソードです。※村岡花子さんが翻訳された小説(新潮文庫)を参照しています。

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赤毛のアン 第7話のあらすじ

世界名作劇場アニメ『赤毛のアン』第7話の簡単なあらすじをもとにアンの魅力を探ります。アンがやってきてから2週間後、マリラの友人レイチェル・リンド夫人が、アンの様子をうかがいにグリーンゲイブルズを訪れます。好奇心旺盛なリンド夫人が出遅れたのは、インフルエンザにかかっていたからです。噂好きのリンド夫人のことですから、早く訪問したくてベッドの中でうずうずしていたことでしょう。

思ったことをずけずけ言うリンド夫人は、初めて会ったアンに向かって「 ひどくやせっぽちで器量が悪いんだね…おまけに髪の赤いこと、まるでにんじんだね」とけなします。すると、アンは 怒りに震えながら、「あんたみたいに下品で失礼で心なしの人見たことがないわ!」と食ってかかります。すると、反撃を受けたリンド夫人はひどく憤慨し、帰ってしまいます。

マリラは 「自分から進んで謝ると言うまで、この部屋から出ないでいなさい」とアンに言い渡しますが、アンはリンド夫人にお詫びに行くことだけはできないと主張します。

そして、「誰かがおばさんに面と向かって、やせっぽちで不器量だと言ったと想像してみて!」というアンの言葉をきっかけに、マリラは傷ついた子ども時代を思い出します。

「かわいそうに。なんてあの子は色が黒くて器量が悪いんだろう」…。 アニメでは、子ども時代に苦い思いをしたマリラの回想シーンが描かれます。苦い思い出から ハッと我に返ったマリラは「だからと言って、お客様に対してあんな振る舞いをしていいということにはならないんだよ」 とアンをたしなめるのでした。

アン: 「どんなにでも好きなようにあたしを罰してくれていいわ。ヘビやヒキガエルのいるじめじめした牢屋に押し込んで、パンと水だけにしてもらってもいいの。でもリンドさんに謝ることだけはできないわ!」
マリラ:「じめじめした牢屋なんかここにはないね」

世界名作劇場「赤毛のアン」第7章

アンの大げさな表現を引用しながら見事に切り返すマリラ。二人の軽妙なやり取りが面白いですね。それでも、アンは「おばさんを困らせたことは悪いと思うけれど、あの人にはああ言ってやってよかったわ!」と言い張り、「そりゃあ、アンの方が正しくはないかな」とマシュウまでアンの肩を持つので、マリラはあきれはててしまいます。

マシュウの助言

マシュウはマシュウでアンのことが気になり畑仕事に手が付きません。そして、マリラがいない間にこっそりアンの部屋に行き、リンド夫人に早く誤った方がいいと切り出します。すると、アンは「できると思うわ、おじさんのためなら。悪かったと言ってもウソにならないの。だって、今じゃ悪かったと思ってるんだもの」と、マシュウの助言に従います。

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アンの返事を聞いて安心したマシュウは、「わしがここへ来たことはマリラに話しちゃいけないよ」と念を押して出ていきます。その後、アンは家に戻ってきたマリラに謝り、二人は連れだってリンド夫人の所へお詫びにいくことにします。

リンド夫人へのおわび

お詫びに行く道すがら、アンはうつむきがちに歩いていましたが、しばらくすると夢見るような表情に変わります。「反省したりお詫びの文句を考えている顔には見えない」 と訝しがるマリラに、アンは「リンドさんに何てお詫びをしようかと想像しているところなの」 と言います。この時のマリラの心情を、小説『赤毛のアン』から抜き出してみましょう。

これは結構なことである――結構なはずである。しかしマリラは自分の予定していた罰の計画が少々狂ってきたような気がしてならなかった。こんなにアンがうっとりとうれしそうなようすをするわけはないのだ。

赤毛のアン 第10章

マリラの葛藤をよそに、リンド夫人の家に到着すると、アンはひざまずきながら見事なお詫びをやってのけます。

「ああ、おばさん、あたしこの上なく悪うございました。あたしがどのくらい悲しんでいるか、とても言い表せません。いいえ、たとえ字引を1冊全部使っても言い尽くせやしません。(中略)もしも許していただけなかったら、あたしは一生悲しみ続けるでしょう。たとえ、恐ろしいカンシャク持ちでも、かわいそうなみなしごに生涯の悲しみを負わせようとはなさらないでしょう?」

世界名作劇場「赤毛のアン」第7話

目をつぶったまま、手を胸に両手を組んで返事を待つアン…。リンド夫人は立ち上がり、アンに手を差し伸べながら「もちろん許してあげますとも 」と言って機嫌を直します。そして、「小さい時は赤かったのに大きくなったら素晴らしい金褐色に変わってしまった子がいたわ」 と、アンに希望まで与えてくれるのです。

しかしマリラのほうは、アンが明らかにこの屈辱の瞬間を大いに楽しんでおり ―― この完全なへりくだりに陶酔しているのを見てとってあきれかえってしまった。自分、マリラが得意になったあの健全なこらしめの値うちはどこへいってしまったのか?アンは、それを、このうえない快楽に変えてしまったのだ。

赤毛のアン 第10章

「あたし、かなり上手に謝ったと思うんだけど…どうせやるんだったら徹底的にやった方がいいと思ったの。ねえマリラ、あたしの髪、本当に金褐色になるかしら?」 と言うアンに、「あんまり自分の顔かたちのことばかり考えるんじゃないよ」とたしなめるのが精一杯のマリラ。

グリーンゲイブルズまでの帰り道、ふと一緒に歩いていたアンの小さな手に触れると、マリラはこれまで味わったことのない”何か温かくて快い” 母のような気持ちを味わうのでした。

アンは容姿をとやかく言われてもめそめそしないで立ち向かっていきます。大人になると、ついつい子どもの言い分を忘れてしまいがちですが、子どもにだって傷つけてはいけないものがあることを忘れてはいけませんよね。大人になった今、マリラのように子ども時代を思い出しながら、ちょっとせつない気分になりました。

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