グリーンゲイブルズの遠景
グリーンゲイブルズ

名作「赤毛のアン」は実話ではなく、作者ルーシー・モード・モンゴメリの創作ですが、小説を書き始めたきっかけは、当時の新聞記事で読んだ「男の子と間違えて女の子を引き取った夫婦の話」だそうです。今回は、モンゴメリの小説の第1作「赤毛のアン」の誕生秘話をご紹介します。

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赤毛のアンは実話ではない!

赤毛のアンの原書

世界中で愛されている「赤毛のアン」は実話ではなく、作者モンゴメリが新聞記事で読んだ「男の子と間違えて女の子を引き取った夫婦の話」をもとに創作した小説です。でも、モンゴメリ自身が生まれ育ったプリンスエドワード島を舞台にした物語なので、作中には実際にある地名や場所が多く登場します。

プリンスエドワード島に実存するアンの家『グリーンゲイブルズ』は当時モンゴメリのいとこが住んでいた家で、グリーンゲイブルズ周辺には『恋人の小径』や『お化けの森』があります。そして、『輝く湖水』はグリーンゲイブルス・ミュージアム(パークコーナー)に隣接した湖水がモデルとなっています。

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また、モンゴメリが自分の子ども時代や赤毛のアン誕生秘話などを描いたエッセイ『ストーリー・オブ・マイ・キャリア 「赤毛のアン」が生まれるまで』などを読むと、原作には実話をもとにしたエピソードがたくさん散りばめられていることがわかります。例えば、想像の世界の住人ケティ・モーリスのエピソードは、幼少期のモンゴメリが戸棚のガラス窓に自分の姿を映し出して空想していた経験から生まれたものです。


ストーリー・オブ・マイ・キャリア 「赤毛のアン」が生まれるまで

「赤毛のアン」は実話ではありませんが、舞台となったプリンスエドワード島には実存する場所があったり、物語にモンゴメリ自身の思い出が色濃く残っているので、実際にあったお話だと勘違いしても不思議ではありません。

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確かに、実存する場所と架空の場所が混在しているプリンスエドワード島を訪れた時も、アンの世界そのものに迷い込んだような気分になりました。

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モンゴメリ小説の誕生秘話

1904年、モンゴメリは新聞記事で読んだ、「男の子と間違えて女の子を引き取った夫婦の話」をもとに、赤毛のアンの物語を書き始めます。主人公は赤ちゃんの時に両親を亡くし孤児院で育ったアン・シャーリー。モンゴメリー自身も、早くに母を亡くし祖父母に育てられたので、アンの身の上はモンゴメリ自身の孤独と重なっていたでしょう。

『赤毛のアン』はアンがアボンリーのクスバート兄妹に引き取られた11歳からクィーン学院を卒業するまでの5年間が描かれていますが、完成するまでに1年半を要したそうです。ところが、出版社の反応はどれも冷ややかで、落胆したモンゴメリは原稿を屋根裏部屋に“お蔵入り”させてしまいます。その数年後、探し物の途中で原稿を読み返し、もう一度出版社に持ち込む決心をします。そして、ようやくアメリカのL・C・ページ社から出版されることになります。

1908年、『赤毛のアン』が出版されるとたちまち大人気となり、マーク・トウェインさえも「かの不滅のアリス以来最も可愛らしく、最も感動的で最もゆかいな子」とアンを絶賛する手紙をモンゴメリに送っています。翌年には、続編『アンの青春』が発行され、アンブックス(アン・シリーズ)と呼ばれる一連の作品が誕生することになるのです。

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最後に

「赤毛のアン」は実話ではありませんが、小説の舞台となったプリンスエドワード島にはモデルとなった場所が実在します。もし、モンゴメリの小説が出版されなかったら、アンが世界一美しい島と称賛したプリンスエドワード島もこれほど有名になることはなかったかもしれません。モンゴメリが屋根裏部屋に封印していた原稿を読み返して、もう一度出版社に持ち込もうと決心したからこそ、今、こうしてアンの物語を読むことができるのです。そう思うと、本当に良かった!と、名作の誕生秘話に感謝せずにはいられません。

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